渡邉 慈美

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「ALLEXに参加しなかったら、プリンストンでは教えていませんでした。」

渡邉 慈美
(プリンストン大学 日本語講師)
ホスト校:Elmira College (Elmira, NY)
参加プログラム:Teaching Associate Program(2年間)
取得学位:修士号(一般教育学専攻)

ALLEXに参加した動機

ALLEXに参加する前に、私はまず学習院大学のアドミッションセンターに勤務し、その後国際交流基金で交換プログラムのコーディネーターとして働いていました。国際交流基金では、アメリカで教えた経験のある多くの語学教師と一緒に仕事をしたのですが、そのうちの一人がALLEXの卒業生でした。その方がアメリカの大学で教えた経験について話してくれ、面白くてやりがいのある仕事だと感じたと言うのを聞いて、興味を持つようになりました。また、私は大学で国語の教員免許を取得していたので、外国で日本語を教えることには少なからず興味を持っていました。そのALLEX卒業生の話を聞いた後、ALLEXプログラムに応募し、参加することが叶いました。

私自身の留学経験も、ALLEXへの参加を後押ししてくれました。高校生の時に、国際ロータリークラブの交換留学生として、1年間ウィスコンシン州のグリーンベイで過ごしました。留学中にはホストファミリーや友人、先生方など多くの人たちに助けられ、私も日本や世界のどこかで日本語を学ぶ人たちのお手伝いをしたいと思うようになりました。私自身の経験から、外国語を学ぶことはとても困難でストレスのたまるものだと知っていたからです。また、外国語習得は時間のかかるプロセスであることも経験していました。そんな経験があるからこそ、うまく教えることができるのではないかと思っていました。

夏期教育研修プログラム

夏期教育研修プログラムは、学校で教えたことがなかった私にとって、素晴らしい経験となりました。初めは教室の前に立つことが大きな挑戦でした。みんなから見られるので緊張するし、落ち着かない感じがしました。みんなが私の言うことに耳を澄ませ、口の動きを注視するので、どんな間違いも許されないようにも感じました。また、ALLEXでは、私がそれまでに耳にしたことのなかったユニークな教授法を採用していました。夏期プログラムでその教授法を学ぶことは、私にとって目を見張るような経験でした。

夏期研修プログラムへの参加は、エルマイラ大学で教えるための準備に大きく役立ちました。実は、エルマイラ大学では、私が唯一の日本語講師でした。なので、どうしたら上手くやれるだろうと不安でしたが、この研修プログラムに助けられました。アメリカ人の学生を教える機会を得て、アメリカ人の学生がどのように振る舞うのか、またアメリカでどのようにして教えるのか知ることができました。それから、他の先生方とのネットワークも築くことができました。ALLEXの夏期プログラムを通じて知り合った日本語と中国語の先生方とは、いまだに交流があり、授業のアイデアを交換したり、大学での経験について話したりしています。

教えることから得たもの

今振り返ってみて、アメリカでの最初の年に教えた一人の学生を思い出しています。彼は当時、日本語と中国語のクラスを取っていましたが、中国の文化と社会により関心を持っていました。でも、私のクラスで日本語の勉強を始めてからは、日本の文化と社会により興味を持つようになりました。彼は卒業後、日本に移り住み英語教師になりました。それは私にとって、とてもやりがいを感じる経験となりました。なぜなら、他の誰かの人生にそのように関わることができるとは思っていなかったし、私が教えることが誰かの人生を変えることになるとは思っていなかったからです。私がアメリカで日本語を教え始めてちょうど4年が経ちましたが、まだ緊張しますし、文法などについてはまだ学ぶことも多いです。もちろん私は日本人ですから日本語が話せますが、話すことと教えることはまったく違います。最初は「私は日本語が話せるんだから、日本語を教えることができるはず」だと思っていました。でも、実はそうではないことに気が付きました。今でも学生の質問に答えられないこともあります。でも、教えることが本当に好きです、なぜなら、様々な学生や先生方と出会うことができるからです。彼らはいつも私に何かを教えてくれます。

ALLEXに参加することの利点

ALLEXの卒業後は、フランクリン&マーシャル大学で教えました。そしてその後、プリンストン大学に移りました。ちょうど日本語講師としての1年目を終えたところです。私は、ALLEXに参加することを強くお勧めします。アメリカで教師の仕事を見つけるのは非常に困難です。私は以前国際交流基金で働いていましたが、国際交流基金は日本語教師として働く人をアメリカに派遣するプログラムを運営しています。その日本語教師たちは通常、中学校または高校に派遣されます。しかし、公立の学校で仕事をするためには州の免許が必要です。もしも大学で日本語を教えたいのであれば、ALLEXがそのための一番の近道だと思います。実際、私はALLEXのようなプログラムを他に知りません。ALLEXには研修プログラムがあり、その後、教師を直接大学に派遣します。そうでなければ、大学レベルの日本語を教えたいのなら、まずアメリカの大学を卒業してから仕事を見つける必要があるのではないかと思います。

ALLEXプログラムがなければ、私は今こうしてニュージャージーにいるとは思えません。プリンストンで教えていることはなかったと思います。ALLEX参加は私にとって人生を変える経験となりました。

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